2024年4月27日(土)、長崎市の九州医学技術専門学校にて、子宮頸がんの啓発を目的としたレクチャーとワークショップを行いました。臨床検査技師を目指す学生さん77名向けに参加していただきました。長崎県健康事業団の先生方と連携した企画であり、Vcanからは長崎メンバーのわくが担当しました。

 レクチャーでは、子宮頸がんに関する知識として、『HPVワクチンの効果はどれくらいなのか?』『副反応は結局怖いのか?』等をお話ししました。

 特に今回のレクチャーでは、参加者の女性のほとんどが対象であるキャッチアップ接種の期限が2025年3月末に迫っていること、それを逃すと最大で10万円が必要になることを強調してお伝えしました。

 また、厚労省の積極的接種勧奨の差し控えにより、私たち世代の女性に約25,000人の超過罹患と5,000人の超過死亡が出てしまったこと1)、そしてその方達を救うためには一刻も早いキャッチアップ接種の情報周知と検診受診率向上が必要であるとお伝えしました。少々難しい話でしたが、臨床検査技師を目指すみなさんに是非聞いて欲しいと考え、話に組み込みました。

1)Simms KT, Hanley SJB, Smith MA, Keane A, Canfell K. Impact of HPV vaccine hesitancy on cervical cancer in Japan: a modelling study. Lancet Public Health. 2020;5(4):e223-e234. doi:10.1016/S2468-2667(20)30010-4

https://www.hokudai.ac.jp/news/2020/02/hpv120207080.html

 ワークショップでは、「HPVワクチンの接種率と子宮頸がん検診率、両者が向上するためのアイデアを考えてみよう!」というテーマで話し合い、発表していただきました。

HPVワクチンの接種率を向上させるためのアイデアとしては、

「集団で接種できる機会を提供する」「男性の接種費用を行政が助成をする、もしくはカップルで接種に来ることで割引にする『カップル割』を設ける」「保護者に対して、今回のような講話の機会を作る」「接種の必要な回数を他国のように減らす」といった意見が出ました。

子宮頸がん検診の受診率を向上させるためのアイデアとしては、

「母子ともに検診に来ることで割引にする『親子割』を設ける」「献血のように受診することで何かもらえるようにする」「頸がん検診がどんなものか、痛いのかなどをもっと理解してもらう」「もっと日本の女性はかかりつけの婦人科クリニックを持つべき」といった意見が出ました。

登壇者の感想(わく)

 グループワークのディスカッションに皆さん積極的に参加してくださって、とっても嬉しかったです!『親子割』『カップル割』の意見が多く出たことが驚きでした。確かにHPVは男女ともに関係のある問題ですし、男性への意識を高めるためにも『カップル割』の制度があったら良いですよね…!親子割も親子で検診への意識を高めるために非常に有効だと思います。全国のクリニックの先生方、どうでしょうか…?

 今回、皆さんの柔軟な意見を聞けて、まだまだできることはあると再認識させられました。非常に楽しく、有意義な時間をくださり、ありがとうございました!準備にご協力してくださった、寺坂先生を始めとする長崎県健康事業団の皆様、九医技の先生方に心より御礼申し上げます。